金融機関は、資金調達や経営の相談など、事業運営に欠かせないパートナーです。特に福祉業界は特殊な業界でもあり、金融機関の担当者の中には馴染みがなく事業のビジネスモデルがよく分からないと思っている担当者がほとんどだと思います。
福祉業界の経営者の中には、「金融機関担当者が自社のビジネスモデルを理解できていない」という声をたまに耳にしますが、金融機関には様々な業界の取引先があり、福祉業界の取引先割合は非常に少なく、金融機関担当者が理解できていなのはある意味しょうがないことなのです。
この福祉業界の経営者と金融機関担当者の認識のギャップや、馴染みがない福祉業界のビジネスモデルを分かりやすく事業計画に落とし込み、金融機関担当者に説明をする橋渡し役として弊社のようなコンサルタントを活用してもらえたらと考えています。
本題に戻りますが、経営の安定性や地域貢献への姿勢が重視されるため、金融機関との信頼関係は非常に重要です。今回は、私たちが実践している「金融機関担当者と上手につきあうコツ」をご紹介します。
経営者のみなさんは、どれくらいの頻度で金融機関担当者と面談をしていますでしょうか。
中には決算書や申告書提出時の年1回だけという方も多いのではないでしょうか。
普段、担当者と接点を持たずに、融資が必要な時や困ったとき時だけに相談をするというのはやめてください。担当者とは常日頃から信頼関係を築いておきましょう。
1. 定期的な情報共有を欠かさない
金融機関は「貸したお金がどう使われ、どう返ってくるか」を重視します。良いときも悪いときも、定期的に業績報告や現場の様子を伝えることで、安心感を持ってもらえます。
毎月や四半期(3か月)ごとに試算表や簡単な経営レポートを担当者に提出する、事業所見学を案内するなどは積極的におこなってください。
月次の試算表を作成していないや記帳代行を税理士事務所に任せており、数か月前の試算表しか出せないとなると金融機関からの評価は得られません。体制を整備して前月分の経営数字は翌月には提出できるようにしておきましょう。
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2. 担当者は「人」であることを忘れない
金融機関も組織ではありますが、担当者個人との関係づくりも非常に大切です。信頼は「人と人」の間に生まれます。
訪問時に世間話を交える、感謝の気持ちを伝える、異動時にお礼を伝えるなど、丁寧に対応して信頼関係を築いていきましょう。
よくある話ですが、金融機関の担当者を通さずに支店長に直接相談するのはあまりおススメできません。経営者の立場からすると支店長に直接相談をした方が話が早いと考える方もいると思いますが、担当者の立場からすると正直その経営者への印象は悪くなります。私はどんなに支店長と懇意にしていたとしても、まずは必ず担当者に話をするようにしています。それが金融機関担当者への礼儀だと考えていますし、信頼関係だと思います。
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3. こちらからも積極的に相談する
経営の悩みや資金繰りなども、包み隠さず相談することが大切です。「困ってから相談」ではなく、「困る前に相談」することで、相手も支援しやすくなります。
私が大好きな半沢直樹のドラマにも出てきましたが「銀行は雨の日に傘を取り上げ、晴れの日に傘を貸す」という格言はある意味事実です。
本当に資金繰りが困ってからの状況では金融機関は融資の支援が難しくなりますので、本当に困る前に支援をしてもらえるようにしましょう。
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4. 信頼関係は「スピード」と「誠実さ」で築く
問い合わせに対する返答のスピードや、書類提出の正確さも見られています。小さな約束を守ることで、大きな信頼につながります。
依頼された資料は期日より少し早く提出する、質問には迅速に対応するなどの対応は非常に重要です。金融機関の担当者が「この経営者は信頼・信用できる」と思ってもらえる対応を常に心掛けましょう。
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5. 中長期的なビジョンを語れるようにする
短期的な数字だけでなく、「どんな地域貢献を目指しているのか」「将来的にどんな組織を目指しているのか」を話すことも大切です。金融機関は、そうした”志”にも共感してくれます。
3年‐5年の中期事業計画、地域ニーズに応えるための新サービスの構想など、経営者としての熱い想いも積極的に伝えていきましょう。
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まとめ
金融機関担当者との関係は、「資金調達のため」だけではなく、「経営をともに考えるパートナー」として築いていくものです。誠実に、前向きに向き合うことで、強い信頼関係が生まれ、いざという時にも心強い味方になってくれるはずです。